
ヨーロッパを旅するとよく耳にする「シェンゲン協定」。シェンゲン協定加盟国内での移動は非常に便利なんです。言ってしまうと、パスポートがなくても国を行き来することができます。(とはいえ、絶対にパスポートを忘れないように)
ただし、気をつけておかないといけない注意点もあるので、是非最後まで読んでもらえればと思います。
シェンゲン協定内の入国審査とは?
シェンゲン協定とは1985年6月14日、ルクセンブルクのシェンゲンで結ばれた協定のこと。(厳密にはシェンゲン付近のモーゼル川、プランセス・マリー=アストリ号において署名した文書のことです。)
制度を簡単に説明すると、協定国間を入国審査なく行き来できる制度で、イミグレーションで並びパスポートにスタンプを押してもらうことなく国境を越えることができるのです。
もちろん、最初に入国する国と最後に出国する国ではパスポートのチェックがありますので。(例えば、日本→イタリア→フランス→ドイツ→日本、の場合イタリアで入国審査、ドイツで出国審査があります。イタリア→フランス→ドイツ間において入国審査がないということになります。)
シェンゲン協定の恩恵を受けた良い例を一つ。夜行列車に乗ると夜中に国境を越えることが多々あります。そんな時でも、この協定のお陰で睡眠を妨げられることなく快適な列車の旅を演出してくれるのです。
協定がない国(クロアチア〜ボスニアなど)では、何度も起こされた経験があります。起こされたのですが、列車の中でスタンプを押してくれるので、ただ睡眠を妨げられただけになります。(タイやマレーシアでは一回列車から降ろされてイミグレーションに行かされます。)
パスポートのスタンプを眺めることが趣味である僕にとっては嬉しさ半分な制度ではありますが、通行の簡素化は多くの人に便利をもたらすことは間違いないですからね。
加盟国一覧!
現在、シェンゲン協定が結ばれている国がこちらの26カ国。
- アイスランド
- イタリア
- エストニア
- オーストリア
- オランダ
- ギリシャ
- スイス
- スウェーデン
- スペイン
- スロバキア
- スロベニア
- チェコ
- デンマーク
- ドイツ
- ノルウェー
- ハンガリー
- フィンランド
- フランス
- ベルギー
- ポーランド
- ポルトガル
- マルタ
- ラトビア
- リトアニア
- リヒテンシュタイン
- ルクセンブルク
実質的にシェンゲン協定の区域になっている国。
- モナコ(フランスの保護国)
- バチカン
- サンマリノ
今後加入の噂がある国。
- ブルガリア
- ルーマニア
- キプロス
- クロアチア
意外にもイギリスは非加盟国なんです。
何度かイギリス〜フランス間を行き来しましたが、イギリスに入国する際には、かなり厳しめの入国審査が僕を待ち受けていました。
本当かどうかわかりませんが、学生ビザやワーホリビザの期限が切れていなくても、学校の証明書や帰りの航空券がないとイギリスに再入国させてもらえないこともあるとのこと。これが都市伝説かのように語られていました。
それにしても26カ国(実質29カ国)という多くの国において入国審査なしで行き来できるなんて、さすがヨーロッパだなと思ってしまいますよね。
しかし、この便利な制度には、日本人の僕らにとっては大きな落とし穴も存在するのです。
注意点!!
おそらく、この記事を読んでくださっている方の多くが、この落とし穴を気にされているのではないでしょうか。
その落とし穴とは、滞在期間のこと。現在、外務省のホームページで確認した情報によると、
「あらゆる180日の期間内で最大90日間」
とのこと。これは僕がヨーロッパを旅していた時とは、若干ルールが変わっています。その当時のルールがこちら。
「最初の入域の日から6か月のうち最大3か月の間」
微妙な違いなんですけど、わかりやすく説明してみるとこんな感じです。
上が「あらゆる〜」で下が「最初の〜」です。
最初に入国した1月に1ヶ月滞在して5、6月にも1ヶ月ずつ滞在します。そして、8月にまた1ヶ月滞在しています。ここまではどちらの条件も満たしていますよね。
昔のルール(下)から説明すると、最初の入国日から6ヶ月経つと、それまで滞在していた分が全てリセットされて、新たな6ヶ月が始まります。だから9月や10月も滞在可能なのです。
しかし、新しいルール(上)の場合、「あらゆる180日」ということで、5月の分は180日経たないとリセットされないということなのです。つまり、5月の分は11月にならないとリセットされないということです。
日本語があまり得意な方ではないので、逆に誤解を招いてしまった恐れもありますが、わからない方は是非大使館などに電話して確認してみてください。
最後に、トランジットは1日にカウントされるのか?という質問について。
長期で旅をされる方は気になることですよね。外務省のホームページには、
「シェンゲン領域をトランジットで通過する場合を含みます。」
といった箇所があることから、カウントされるものだと考えます。「何日か滞在期間を超えてしまったけど大丈夫だった人がいる」なんていう噂がまことしやかに囁かれていたりしますが、面倒事に巻き込まれないためにも余裕を持った計画を立てるようにしてください。
何かとややこしい制約があったりしますが、ビザ無しでここまで滞在させてもらえるシェンゲン協定国、そして日本のパスポートには感謝しないといけませんね。
シェンゲン協定に加盟しているのはアイ「ル」ランドではなくアイ「ス」ランドです。
アイルランドは独自の入国審査があります。
なお英国とアイルランドはCommon Travel Areaとなっていて、互いの国で双方の入国審査が有効であり、二国間の移動は出入国審査がありません。
ご指摘ありがとうございました。
早速訂正させていただきました。